養育費とは?という疑問を解決

養育費が理解できるようわかりやすく解説

著者は養育費に強い行政書士の辻雅清

初めまして、全国対応で離婚問題に力を入れている行政書士の辻 雅清と申します。

〈主要業務について〉
・離婚協議書の作成(全国対応)
・離婚公正証書の原案作成&代理作成(全国対応)

2010年に開業以来、様々なご相談とご依頼を受けてきました。
この経験をこのページにてお伝えするので、これから協議離婚を考えている方にとって有益な情報となれば幸いです。

【目次】

○ 養育費のテンプレートと書き方
○ テンプレート利用時の注意点
○ 最低限、養育費で決めるべき4つの条件
○ 養育費を払わないという合意は問題ある?
○ 離婚後、再婚した場合の養育費は?
○ 離婚チェックシートを使って効率良く進めませんか?
○ 養育費の相場はいくら?5万円?4万円?
○ 養育費算定表のポイント解説
○ 養育費算定表通りに決めないといけない?
○ 養育費の支払率を上げる方法

離婚協議書や離婚公正証書に記載する養育費についてお伝えします。

離婚条件の中でも養育費は子どもの将来のために大事なものです。ここでは養育費のテンプレートや文書例を交えながら書き方を解説します。

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養育費のテンプレートと書き方

養育費のテンプレートや書き方、再婚時の再請求などを解説

先ず養育費の大事なポイントを解説する前に離婚協議書や離婚公正証書を作成する際に役立つテンプレートや書き方をお伝えします。

以下の青文字が養育費のテンプレートと書き方です。

甲は、乙に対し、長女の養育費として令和7年9月から令和22年3月まで、1か月金5万円を毎月15日までに、長女の口座に振込み送金して支払う。

テンプレート利用時の注意点

このテンプレート養育費の基本額の書き方となり、ここでは離婚協議書や離婚公正証書に載せるべき+aの細かい条件まで掲載していません。+aの条件はご夫婦(自分たち)で集めることも専門家に依頼をして得ることもできます。

養育費はお子様にとって大事な離婚条件となります。
夫婦間でよく話し合いをして後悔しないように細部までこだわって合意して下さい。

夫婦間協議の結果、養育費の条件が10個以上になるご依頼者様も多いです。

最低限、養育費で決めるべき4つの条件

離婚協議書や離婚公正証書に養育費の条件を残す場合、最低限、テンプレート(養育費の書き方)のように4つの条件を記載して下さい。

〈4つの条件とは?〉
① 毎月支払う養育費の金額
② 養育費の終期(いつまで)
③ 養育費の支払日
④ 養育費の振込先

先ず①毎月支払う養育費の金額は夫婦間協議で自由に決めれます。

ただ自由に決めれると言っても相場を知りたいと考える方は多いです。
相場を知りたい方は家裁の調停離婚で利用される養育費算定表の確認をお勧めします。

養育費算定表(相場)の詳細はこちらのトピックにてお伝えしています。

なお、支払者(主に父親)にとって無茶な金額で合意した場合、
離婚後の仕事へのモチベーションが下がって未払いのリスクが高まります。
例)給料手取りの半分以上が養育費となり生活が苦しくなる。

逆に支払者にとって無理のない現実的な金額で合意した場合、
仕事へのモチベーションが保てるので養育費の支払率向上に繋がります。

次に養育費の終期も毎月支払う金額と同様に夫婦間協議で自由に決めれます。

なお、養育費の終期は学校表記(4年制大学卒業など)ではなく年代や年齢表記の利用が望ましいです。学校表記の場合、浪人や留年をした場合はどうなる?という問題が起きます。

テンプレートの令和22年3月は年代表記(ストレートでの4年制大学卒業月)となります。

次に③養育費の支払日も夫婦間協議で自由に決めれます。
支払者の給料日から5日以内を支払日にすると余裕を持って支払ができます。

ただ最近はネットバンクを利用されている方が多いので、給料日を支払日にする方も増えています。

最後に④養育費の振込先は親権者(主に母親)又は子どもの口座どちらでも構いません。

ただ子どもに支払をしたいという支払者の希望をよく伺うので、
子どもが1人の場合は子どもの口座、複数の場合は親権者の口座振込をお勧めしています。

子どもが複数いて子どもの口座に振込む場合、手数料の問題(手数料×人数)が起きます。

なお、養育費の支払方法は手渡しではなく振込を利用して下さい。
手渡しだと払った(受取っていない)、支払日が遅れるというトラブルが起きやすいです。

養育費を払わないという合意は問題ある?

夫婦間協議の結果、養育費を払わない(受取らない)という合意をした場合、
養育費は子どもの成長に必要なお金なので無効となり、離婚後、いつでも請求できます。

つまりこの合意は問題がある。というのが答えです。

ただし、離婚後、支払者が支払請求をすぐに受入れてくれるかは別問題です。
例)離婚から3年後に状況が変わって養育費支払請求をしたけど断られた。

仮に支払請求を断られた場合は別の選択肢を検討して請求することになります。

離婚後、再婚した場合の養育費は?

離婚後、支払者又は親権者が再婚する可能性はあります。

養育費は親権者のお金ではなく子どものお金です。
このことから再婚など特別な状況変化が起きた場合は双方が再請求できます。

養育費の再請求とは増額、減額のことです。
例1)支払者が再婚したので養育費の減額を請求する。
例2)親権者が再婚したので養育費の減額を請求する。

一般的に再婚した場合は増額ではなく減額の請求になります。
あくまでも再請求をできるだけなのでその請求が叶うとは限りません。

話が逸れますが支払者の収入が大幅にアップした場合、養育費の増額を請求することもあり得ます。

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離婚チェックシートを使って効率良く進めませんか?

離婚チェックシートの見本

協議離婚で話し合う離婚条件は親権、養育費、面会交流、慰謝料、財産分与、年金分割など代表的なもの、あまり知られていないものなど数多くあります。

この離婚条件の情報はご夫婦(自分たち)で集めて整理する必要がありますが以下の問題や疑問を抱える方が多いです。

〈問題や疑問とは?〉
・離婚情報が多くて混乱する。
・AサイトとBサイトで真逆のことが書かれている。
・有益な情報を集めたいけどやり方がわからない。

この問題や疑問を解消するのがオリジナルの離婚チェックシートです。
離婚チェックシートがあれば、ご夫婦で離婚条件の情報を集める必要がなくなります。つまり完成までの時間短縮に繋がります。

離婚チェックシートとは?

① 計13ページ63項目を掲載
② 協議離婚に必要な情報を全て網羅
③ わかりやすいように○×回答形式を多く採用

当事務所では20代~40代のご依頼者様が多いので養育費と面会交流の項目が多いです。

なお、数年前からは世代を問わずご依頼を頂いております。
世代に応じてテーマになる離婚条件(退職金など)は異なりますが全て対応できます。

離婚チェックシートには、具体的に以下のように掲載されています。

〈離婚チェックシートの項目例〉
例1「子どもの養育費は何歳まで払う?(選択肢は5つ)」
例2「子どもとの定期面会はどうしますか?(選択肢は3つ)」
例3「預貯金の財産分与の分配方法は?(選択肢は3つ)」
例4「通知義務の通知方法はどうしますか?(選択肢は6つ)」

離婚協議書や離婚公正証書作成に必要な情報を掲載しています。
つまり夫婦間での離婚協議において二度手間がなくなり、効率良く進めることができます。

なお、当事務所では弁護士法の規定により相手方との交渉はお引受できません。

補足として+aの条件も多数掲載しており、○と回答した項目が多い場合、
養育費と面会交流の条件だけでもそれぞれ10個以上になるご依頼者様もいらっしゃいます。

こういう訳でご依頼者様からは大変好評を頂いております。

詳細は離婚チェックシートの内容と使い方|離婚協議書と公正証書作成をご覧下さい。

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養育費の相場はいくら?5万円?4万円?

養育費の相場を調べる方法を解説

協議離婚は夫婦間の協議で解決を目指すものです。
つまり毎月支払う養育費の金額は双方が納得すれば自由に決めれます。

月5万円、4万円、3万円、6万円、8万円でも支払者(主に父親)が払うと言えば養育費は決まります。

ただ自由に決めれると言っても相場を知りたいと考えるご夫婦は多いです。この疑問を解決するのが養育費算定表です。

養育費算定表のポイント解説

・家庭裁判所のHPに掲載
・夫婦間の年収で相場を算出
・あくまでも参考情報として利用する

先ずインターネットで「養育費算定表」と検索すれば1番上に家庭裁判所のページが出てきます。お時間がある時にご確認下さい。

次に養育費算定表はご夫婦の年収をベースに金額を算出します。
毎年12月頃に勤務先から配布される源泉徴収票を用意して支払金額(これが年収になります)を確認して下さい。

そしてご夫婦の年収を養育費算定表に当てはめれば相場が出てきます。

支払者の年収が500万円で権利者(親権者)の年収が50万円の場合、
養育費算定表に当てはめてみると4万円~6万円という相場が算出されます。

あとはこの相場をベースに協議を行い養育費の金額を決めます。
例)相場は4万円~6万円だから間を取って5万円にしよう。

なお養育費算定表の右上の文字を見ればわかりますが、
以下のように子どもの人数と年齢別にページがわけられているのでご注意下さい。

〈養育費算定表の注意点とは?〉
表1「養育費、子1人表(子0~14歳)」
表3「養育費、子2人表(第1子及び第2子0~14歳)」
表6「養育費、子3人表(第1子から第3子0~14歳)」

つまり14歳以下の子どもが3人いるのに表1を確認した場合、
子どもの年齢は合っていても人数は不一致なので正確な相場を出せません。
このケースでは表6を確認して養育費の相場を出します。

養育費算定表通りに決めないといけない?

上述の通り、協議離婚は夫婦間の話し合いで金額を決めます。
つまり養育費算定表は絶対的な縛られる基準ではなく参考情報となります。

夫婦間協議の結果、以下のように相場より上、相場より下の金額で合意しても問題ありません。

〈どのような合意?〉
・相場が2~4万円でも子どものために月5万円支払うことで合意。
・相場が8~10万円でも特別な事情があり月6万円支払うことで合意。

なお、養育費は子どもの成長に欠かせないお金です。
このことから子どもの将来のためにもよく話し合って金額を決めることが大事です。

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養育費の支払率を上げる方法

養育費支払の公正証書を作れば支払率は上がります

夫婦間協議で養育費の条件が決まっても最後まで約束通り払ってくれるのか?という不安を覚える方は多いです。

現在、養育費の支払を確実に守ってもらう方法はありません。
ただ支払率を100%に近づける方法はあります。それは夫婦間が合意した条件を書面に残すことです。

書面とは離婚協議書や離婚公正証書のことを言います。
ここでは強い効力を持つ離婚公正証書についてお伝えします。

〈離婚強制証書のメリットとは?〉
① 強制執行(財産差押え)ができる
② 支払者に心理的プレッシャーを与える
③ 真剣な夫婦間の協議が期待できる

先ず離婚公正証書には①強制執行という強い効力があります。
仮に養育費の支払が滞った場合、支払者の財産を差押えることができます。
例)養育費を払ってくれないから元夫の給料の差押えをする。

当事務所ではこの効力を求めて離婚公正証書を作るご依頼者様が多いです。

次に②支払者への心理的プレッシャーとは以下のような状況が期待できます。

〈どのような状況?〉
・養育費を払わないと差押えをされる。
・給料の差押えをされると勤務先に知られる。

離婚公正証書には強制執行というイメージが強いです。
ただ裁判所での手続きを考えると差押えをしないに越したことはありません。
このことから当事務所にご依頼を受けた場合、このプレッシャーを意識した上で作成します。

支払者に心理的プレッシャーがかかることで養育費を払おう(約束を守ろう)という気持ちが高まります。

最後に協議離婚は夫婦間の話し合いで解決を目指します。
このことからご夫婦ごとに夫婦間協議の質や量に差が生じます。
例)1日でも早く離婚したいからざっくりと養育費の約束をした。

質が高いということは③真剣は夫婦間協議と言えます。
つまり夫婦間で合意した条件は守ろうという双方の意識向上に繋がります。

この意識の有無が離婚後の養育費の支払率に大きな影響を与えます。

どうしたら質の高い夫婦間協議ができる?

上述の通り、離婚公正証書には①と②のメリットがあります。
つまり離婚公正証書を作るという過程を通じて、自然と適当な協議はできないという気持ちが高まります。

また夫婦間で決めた条件は書面(証拠)として残るので、慎重かつ丁寧に夫婦間協議を進めようという気持ちにもなります。

こういう訳で協議離婚をするご夫婦が養育費の合意をした場合は口約束ではなく離婚公正証書の作成を検討してほしいです。

離婚公正証書完成までのハードルは高いですが作る価値は十分あります。