離婚公正証書完成までの流れが分かるコラム

離婚までの道のり第6話

著者は離婚問題に強い行政書士の辻雅清

初めまして、全国対応で離婚問題に力を入れている行政書士の辻 雅清と申します。

〈主力業務について〉
・離婚協議書の作成(全国対応)
・離婚公正証書の原案作成&代理作成(全国対応)

離婚公正証書完成までの流れをわかりやすく解説するため、
ここでは複数回にわたって物語形式(フィクション)でお伝えします。

【目次】

物語の登場人物
第6話「財産分与と慰謝料の話し合い開始」スタート
離婚チェックシートを使って効率良く進めませんか?

この離婚物語を読めば協議離婚の流れを理解しやすくなります。

物語の登場人物

夫 鈴木 四朗(会社員)(神奈川県出身)
妻 鈴木 久子(会社員)(大阪府出身)

四朗と久子は大学時代の同級生で卒業から1年後に結婚をした5年目の夫婦です。

2人共会社員で仕事が忙しく子どもはいない状況でした。

第6話「財産分与と慰謝料の話し合い開始」スタート

四朗は久子が離婚条件をまとめて書き留めたノートを読み終えると落ち着いた表情をしました。いよいよ明日から具体的な条件協議の開始です。

久子は四朗の反応を見て冷静な条件協議ができると期待しました。

翌日、四朗と久子は財産分与の話し合いから始めることにしました。

財産分与話し合いのポイント〉
・動産(家具家電)の種類は少ない。
・不動産は所有していなくて賃貸マンションに居住。
・預貯金の分配方法。

先ず動産(家具家電)は婚姻期間が短く、婚姻時に購入したものが少なかった(独身時代に購入したものを使用していた)ため、条件協議はすぐに終わりました。

〈ワンポイントアドバイス1〉
・独身時代に購入したものを特有財産と言う。
・特有財産は財産分与の対象外財産で購入した人のものになる。
・一方、婚姻中に購入したものは共有財産と言い、対象財産になる。

財産分与の条件協議では特有財産と共有財産の選別が重要となり、久子も離婚情報を集めた際、この違いを理解するのに苦労しました。

次に婚姻中に2人が居住していたのは賃貸マンションだったため、不動産に関する財産分与の条件協議は不要となります。

久子「マンションはどうする?解約する?」
四朗「通勤に便利な立地だからできれば残りたい。」

離婚後、久子は職場近くで新居を探す予定のため、四朗がマンションに残ることについては反対する理由もなく同意しました。

なお、共有財産の対象となる動産(家具家電)については久子が必要なものを取得し、残ったものは四朗が取得(マンションに残す)することで合意しました。

最後に預貯金について話し合いを始めました。

久子「私名義の預貯金は全てもらっていいかな?」
四朗「逆に僕名義の預貯金はもらってもいいのかな?」

久子は四朗名義の預貯金の分配を希望しないので、「自分名義の預貯金は自分が取得する。」という条件で合意できました。

〈ワンポイントアドバイス2〉
・財産分与の分配割合は折半が公平かつ妥当。
・共働きの場合、折半以外の割合で条件合意するケースもある。

以上で財産分与の条件協議は終了となりました。久子が事前に情報収集をしていたため、スムーズに進めることができました。

そして四朗と久子は慰謝料の話し合いを始めることにしました。

四朗は財産分与の条件協議の時の表情とは異なり、不倫をした事実があるため緊張した表情をしていました。久子にも四朗の緊張が伝わりました。

慰謝料の話し合いのポイント〉
・慰謝料は150万円を希望。
・支払方法は分割ではなく一括を希望。

久子は四朗が不倫をしたことによる精神的苦痛の対価としてノートに記載の通り、150万円を一括で払ってほしいと伝えました。

久子の本心としては150万円だと足らないと考えましたが、参考にしたウェブサイトに「現実的に支払える金額での合意が大事」と書かれていたので150万円を請求することにしました。

また仮に非現実的な金額(高額)を伝えて合意できても、分割払いになった場合、未払いになる可能性が高くなるとも考えました。

四朗「申し訳ないけど一括払いは厳しい。」
久子「どうして?150万円は現実的な金額だと思うけど。」

四朗は不倫したことを反省して支払の意思はありましたが、
預貯金の残高が100万円しかなかったので、現実的に払えない状況だと考えました。

四朗「100万円ならすぐに支払うことを約束する。」

元々、四朗は久子を裏切ったことに責任を感じていたため、自分の預貯金全てを渡して久子に誠意を見せたいと考えていました。ただ自分の預貯金全てを渡しても久子の希望額に届かないという現実的な問題が起きました。

四朗「残り50万円は分割払いでもいいかな?」
久子「予想外の返答だったから少し考えさせてほしい。」

久子は離婚したら四朗との関わりを絶ちたいと考えていました。
仮に分割払いで合意した場合、支払を終えるまで関係が続くので100万円で合意するか、分割払いを受入れるか迷いました。

四朗「分割払いについて検討してほしい。」

こうして慰謝料の条件協議は持ち越し(再協議)となり終わりました。

離婚原因が四朗の不倫だったこともあり、久子の想像以上に条件協議が1日で一気に進みました。

また離婚条件の情報収集などの事前準備をしておいて心の底から良かったと思いました。

ただ慰謝料の支払方法(一括と分割の併用)は予想外だったので、条件合意は難しいと感じましたが次回協議に向けて頑張ろうと気持ちを切替えました。

久子「改めて慰謝料について考えないといけない。」

あとは慰謝料の支払額と支払方法がポイントになるので、久子は次回協議までにこのポイントを整理する準備を始めることにしました。

(第6話終了)

再協議になった慰謝料を考える|離婚までの道のり7話
離婚成立までの道のり(流れ)を物語で解説|離婚物語の目次

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離婚チェックシートを使って効率良く進めませんか?

離婚チェックシートの見本

協議離婚で話し合う離婚条件は親権、養育費、面会交流、慰謝料、財産分与、年金分割など代表的なもの、あまり知られていないものなど数多くあります。

この離婚条件の情報はご夫婦(自分たち)で集めて整理する必要がありますが以下の問題や疑問を抱える方が多いです。

〈問題や疑問とは?〉
・離婚情報が多くて混乱する。
・AサイトとBサイトで真逆のことが書かれている。
・有益な情報を集めたいけどやり方がわからない。

この問題や疑問を解消するのがオリジナルの離婚チェックシートです。
離婚チェックシートがあれば、ご夫婦で離婚条件の情報を集める必要がなくなります。つまり完成までの時間短縮に繋がります。

離婚チェックシートとは?

① 計13ページ63項目を掲載
② 協議離婚に必要な情報を全て網羅
③ わかりやすいように○×回答形式を多く採用

当事務所では20代~40代のご依頼者様が多いので養育費と面会交流の項目が多いです。

なお、数年前からは世代を問わずご依頼を頂いております。
世代に応じてテーマになる離婚条件(退職金など)は異なりますが全て対応できます。

離婚チェックシートには、具体的に以下のように掲載されています。

〈離婚チェックシートの項目例〉
例1「子どもの養育費は何歳まで払う?(選択肢は5つ)」
例2「子どもとの定期面会はどうしますか?(選択肢は3つ)」
例3「預貯金の財産分与の分配方法は?(選択肢は3つ)」
例4「通知義務の通知方法はどうしますか?(選択肢は6つ)」

離婚協議書や離婚公正証書作成に必要な情報を掲載しています。
つまり夫婦間での離婚協議において二度手間がなくなり、効率良く進めることができます。

なお、当事務所では弁護士法の規定により相手方との交渉はお引受できません。

補足として+aの条件も多数掲載しており、○と回答した項目が多い場合、
養育費と面会交流の条件だけでもそれぞれ10個以上になるご依頼者様もいらっしゃいます。

こういう訳でご依頼者様からは大変好評を頂いております。

詳細は離婚チェックシートの内容と使い方|離婚協議書と公正証書作成をご覧下さい。