財産分与とはという疑問を解決

財産分与の文例と書き方

財産分与の書き方

【目次】

1.財産分与の文例と書き方
2.住宅ローンがない不動産の財産分与
3.住宅ローンがある不動産の財産分与
4.動産(家具や電化製品)の財産分与は面倒?
5.理想的な財産分与の進め方と相場

先ず『不動産の財産分与』に関する詳細をお伝えする前に、
離婚協議書や離婚公正証書を作る時に役立つ文例や書き方を解説します。

離婚協議書と離婚公正証書全体の文例もあります。詳しくはこちらです。
(※ 実務で使っている15個の文例と書き方なので是非ご覧下さい。)

離婚協議書や離婚公正証書を作る予定がない方は、
この項目を飛ばして、『2.住宅ローンがない不動産の財産分与』をご覧下さい。

1号 家やマンションの財産分与
甲と乙は、財産分与として西暦2017年9月1日に
甲単独名義の不動産を甲が全て取得することで合意した。
(※ 不動産情報の記載は省略しています。)

2号 お金の財産分与
甲と乙は、財産分与として西暦2017年9月10日に
預金500万円を甲が50万円、乙が450万円受領した。

3号 動産の財産分与
甲と乙は、財産分与として西暦2017年9月5日に
甲はテレビと冷蔵庫を取得し、乙はエアコンとパソコンを取得した。
(※ 家電の製品情報の記載は省略しています。)

①財産分与について

財産分与は結婚期間中に蓄えた財産を清算(分配)するもので、
主に不動産、お金(預金や現金)、動産(家具や電化製品)、以上3つに分類されます。

財産分与では『結婚中に蓄えた財産』がポイントになるので、
独身時代に蓄えた財産、相続で得た遺産は対象外(分けなくて良い)となります。
(例 妻の結婚前の貯金については、夫に分ける必要がない。)

財産分与の請求期限は、離婚後2年以内(時効、除斥期間)となっています。

②家やマンションの財産分与について

不動産の財産分与は話し合いで自由に決定出来ますが、
住宅ローンが残っている場合、銀行からの制約を受けるので、
間違った結論を出さないためにも、専門家への相談をお勧めします。

又、不動産の財産分与で名義変更をする場合は、
移転登記(司法書士)や税金(税理士)に関する準備が必要となります。

詳細は『2.住宅ローンがない不動産の財産分与』以降で詳しくお伝えします。

③お金の財産分与について

お金の財産分与(主に預金)は直ぐに現金化出来るものなので、
離婚後のトラブルを防ぐためにも『分けた』という証拠を残すことが大切です。

『分配金は50万円ではなく80万円だから、残り30万円を払え。』
離婚後、甲に悪意があればこのようなウソをつけるので記載する意義はあります。

ちなみに退職金や借金の財産分与については、
離婚の時期や状況に応じて、個別に検討する必要があるので解説は差し控えます。
(※ 退職金や借金については、専門家への相談をお勧めします。)

④動産の財産分与について

動産(家具や電化製品)も財産分与の対象となります。

動産は量が多いことから、話し合うのが面倒だと考えがちですが、
お金の財産分与と同様にトラブル防止に役立つので、よく話し合って下さい。

『テレビを譲ると言ったけど、やっぱり返して欲しい。』
離婚後、乙が甲に再請求をする可能性があるので記載する意義はあります。
(注 甲が乙に対して再請求をするケースもあります。)

清算条項という合意を入れることで、この再請求を防ぐことが出来ます。
清算条項の詳細については、清算条項の書き方と文例をご覧下さい。

⑤自動車の財産分与について

文例にはありませんが、自動車も財産分与の対象になります。

物理的に自動車を半分に切って分けることは出来ないので、
話し合いで2つの選択肢(一方が乗り続ける又は売却して現金化する)から選びます。

但し、ローンが残っている自動車の財産分与については、
ローン会社からの制約を受けるので、専門家への相談をお勧めします。

⑥証拠の日付について

財産分与では養育費のようにお金の支払もありますが、
基本的には『財産を清算した』という証拠の合意が多数を占めます。

この証拠の合意は離婚後のトラブル防止に役立つので、
文例1号~3号のように証拠の日付を記載するようにして下さい。

この日付は合意した日になるので、全て同じ日になるとは限りません。

⑦子供の財産について

子供の財産として子供名義の預金が考えられますが、
この預金に関する財産分与は、預金をした経緯によって対応が変わります。

子供の将来(予備校代や学費など)を考えて積立をしていた場合、
財産分与の対象になるので、夫婦間で分け方(分配方法)の話し合いをします。

但し、このケースでは子供の将来のためだけに使うと約束して、
子供名義の預金全額を親権者に託す(管理)という結論を出す夫婦が多いです。

一方、子供名義の預金の内訳がお年玉やお小遣いの場合、
財産分与の対象にならないので、分け方の話し合いは必要ありません。

つまり子供固有の財産となります。

⑧財産分与の分け方(分配方法)について

財産分与の分け方は折半(50%)が公平だと考えられていますが、
各夫婦の離婚時の状況に応じて、柔軟な結論を出しても問題ありません。

柔軟な結論とは折半以外(7対3など)の分け方です。

ちなみに文例2号では、甲が不動産を取得した代わりに、
預金は乙が9割(500万円の内450万円)受取るという結論を出しています。

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2.住宅ローンがない不動産の財産分与

住宅ローンがない不動産は揉めにくい

先ず不動産とは家やマンションのことを言います。

住宅ローンを完済している場合、銀行からの制約を受けないので、
夫婦間の話し合いで揉める可能性は低く、主に2つの選択肢から解決を図ります。

【2つの選択肢とは】

A案 不動産を売却して現金を分ける
B案 一方が不動産を取得し、他方に現金を払う

先ずA案は不動産を売却して、その売却益を分けるので、
分け方(分配方法)さえ合意出来れば、お互いが納得出来る方法となります。
(例 売却益1000万円の内、夫が500万円、妻が500万円受取った。)

但し、不動産は直ぐに売れるとは限らないというデメリットがあります。
ちなみに離婚届の提出時期は、不動産の売却後にすることが望ましいです。

そしてB案は一方が不動産を取得して、他方に現金を払うので、
具体的な支払額の合意さえ出来れば、お互いが納得出来る方法となります。
(例 夫がマンションを取得する代わりに、妻へ現金600万円を払う。)

このB案は文例1号と2号に近い内容となります。

Q「B案の支払額の相場ってありますか?」

不動産の価値はバラバラなので、相場というものはありません。

お互いが公平だと納得出来る支払額の算出方法としては、
不動産屋に現在の価値を確認し、その半値を支払額にするというものがあります。
(例 マンションの価値が1200万円だから、半値の600万円を支払う。)

不動産屋は1社ではなく、複数の会社に確認することをお勧めします。

ちなみにB案で不動産の名義変更(夫から妻へ)が起きる場合は、
法務局での登記が必要になるので、司法書士への相談をお勧めします。
(※ 司法書士に依頼をせず、自分で移転登記の手続きをすることも可能です。)

加えて税金の相談は税理士へ相談することをお勧めします。

こういう訳で住宅ローンがない不動産の財産分与については、
上述の通り、揉める可能性が少なく、不動産を自由に扱うことが出来ます。

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3.住宅ローンがある不動産の財産分与

住宅ローンがある不動産は揉める

住宅ローンが残っている場合、銀行からの制約を受けるので、
解決するための選択肢は少なく、夫婦間の話し合いが長引くケースが多いです。

【選択肢とは】

C案 不動産を売却する
D案 住宅ローンを一括返済する
E案 離婚後も一方が住み続ける

先ずC案は不動産を売却するということなので、
売却額が住宅ローンの残額を上回っている(+になる)必要があります。
(例 売却額が1000万円で住宅ローンの残額が500万円ある。)

ただ住宅ローンの残額が少ないケースを除いて、
下回る(-になる)ことが多いので、C案を選択出来る夫婦は少ないです。
(例 売却額が500万円で住宅ローンの残額が1000万円ある。)

この下回る状況のことを『オーバーローン』と言います。

次にD案は住宅ローンの残額を一括返済するということなので、
仮に一括返済出来れば『2.住宅ローンがない不動産の財産分与』になります。

ただ住宅ローンの残額が少ないケースを除いて、
一括返済する現金を用意するのが難しいので、D案を選択出来る夫婦は少ないです。

選択肢としてC案とD案を挙げましたが、上述の通り、
選択出来る夫婦は少ないので、解決するための選択肢と言うのは難しいです。

最後にE案は離婚後も一方が住み続けるということで、
言葉通り、不動産の名義人が住み続けて、住宅ローンも払っていきます。
(例 不動産の名義人である夫が住宅ローンを払いながら住み続ける。)

Q「E案で不動産の名義人を夫から妻へ変更出来ますか?」

住宅ローンが残っている場合、夫婦間の合意だけで変更は出来ず、
銀行への相談と承諾が必要になるので、名義変更をすることは難しいです。

銀行の承諾とは住宅ローンの借換を指しています。
妻に安定した収入がないと、銀行は住宅ローンの借換を認めてくれません。

こういう訳で住宅ローンが残っている不動産の財産分与は、
現実的な話として、E案しか選択出来ないという夫婦が多いです。

不動産の財産分与では住宅ローンの問題以外にも、
↓に該当する場合は、追加で話し合って解決する必要があります。

【住宅ローン以外の問題点】

◇ 共有名義になっている
◇ 連帯保証人になっている
◇ 養育費の金額の問題

先ず不動産を購入する際、離婚するとは考えていないので、
共有名義にしていたり、連帯保証人になっているケースもあります。

共有名義については、離婚後も共有する夫婦はいないので、
どちらの名義(単独名義)にするかという、話し合いが必要となります。
住宅ローンが残っている場合は、上述の通り銀行の制約を受けるのでご注意下さい。

連帯保証人については、抜けたいと考えるのが自然なので、
銀行に単独債務の可否を相談したり、新しい連帯保証人を見つける必要があります。
(例 銀行に妻が連帯保証人から抜けて、夫の単独債務で可能か確認する。)

現実的な話として、連帯保証人になってくれる人を見つけるのは難しいです。

最後にE案を選択した場合、↓のような養育費の問題が起きやすいです。

夫「1人でこの家に住むのは広すぎる。」
夫「住宅ローンのに加えて養育費の支払は厳しい。」

上述の通り、家やマンションの購入時に離婚は考えていないので、
このような問題が生じやすく、養育費の条件の話し合いに影響が出ます。
(例 収入と支出の計算をしてみると、妻が望む養育費を払えない。)

こういう訳で住宅ローンが残っている不動産の財産分与では、
話し合いが難航して揉める可能性が高く、なかなか進まないケースが多いです。

端的に言うと『八方塞がり』という状況になりやすいです。

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4.動産(家具や電化製品)の財産分与は面倒?

動産の財産分与の話し合いは大切

【動産とは】

◇ 自宅にある家具
◇ 自宅にある電化製品

動産とは自宅(家やマンション)にある家具や電化製品を言い、
量(種類)が多いことから、財産分与の話し合いは面倒だと考える夫婦が多いです。

このような理由で財産分与の話し合いを避けた場合、
離婚後、↓のようなトラブルに巻込まれる可能性が出てきます。

元妻「テレビを譲って欲しい。」
元夫「今頃言われても困る。自分で買って下さい。」

正直な話『たかがテレビ』と思う方もいるかもしれませんが、
新生活を始めた矢先に言われると、気分が良いものではありません。
(注 元妻からの請求ではなく、元夫から請求するケースもあります。)

こういう訳で面倒だと考えても、動産の財産分与の話し合いはして下さい。
とは言っても全ての動産を話し合うのは大変なので、↓のような解消案があります。

【A夫妻の財産分与】

◇ テレビ
◇ 冷蔵庫
◆ エアコン
◆ パソコン
◆ プリンター、洗濯機、空気清浄機etc
(◇は夫が取得、◆は妻が取得)

繰返しになりますが、動産の財産分与では自宅内のモノが対象なので、
全てのモノの合意を目指すと、時間がかかるというデメリットがあります。

離婚協議書や離婚公正証書を作るご依頼者様の多くが、
動産については↓のように感じ、その気持ちは十分理解出来ます。

夫妻「1つ1つ話し合うのは大変です。」

この問題を解消する方法として、↓のような2つの方法をお伝えしています。

方法1「離婚後、譲ってと言われたら嫌なモノだけ話し合う。」
方法2「高価なモノ、個人的に思い入れのあるモノだけ話し合う。」

方法1と2の内容については、言葉通りの意味となります。
当事務所ではいずれかの方法を使って、合意を目指すご依頼者様が多いです。

上述のA夫妻は方法2(高価なモノ)を使って合意に至った例となります。

最後に動産の財産分与では方法1や2以外のやり方もあり、
詳しく知りたいという方は、お気軽に当事務所の無料相談をご利用下さい。

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5.理想的な財産分与の進め方と相場

効率良く財産分与の話し合いを進める方法

財産分与は不動産、お金、動産と量(種類)が多いですが、
1つ1つ丁寧に準備すれば、合意までの期間を短縮出来ます。

【理想的な進め方】

① 現在の財産を確認
② メモ用紙に一覧表を作る
③ 関係ない財産の有無を確認
④ 誰が何をもらうか話し合う
⑤ 財産分与の合意

先ず財産分与は結婚期間中に蓄えた財産を清算(分配)するので、
離婚を考えた時点で自宅内にある、①財産の確認から始めて下さい。
(例 家、マンション、自動車、預金、貯金箱、パソコン、テレビ、机etc)

次に話し合いをスムーズに進めるために、簡単で良いので、
メモ用紙を用意して、そこに②財産を記入し一覧表を作って下さい。

尚、結婚前(独身時代)に購入したモノや貯めていた預金、
結婚中に相続で得た遺産などは個人財産なので、財産分与の必要はありません。
(注 預金(現金)については財産分与の対象になるケースもあります。)

つまり③関係のない財産が一覧表に含まれていないか確認をして下さい。

そして↓のような流れで、④誰が何をもらうかについて話し合います。

夫「マンションと車はもらいたい。」
妻「その代わり預金、パソコン、生活家電が欲しい。」

財産分与の話し合いでは不動産と動産で揉めることは少なく、
お金(預金や現金)の分け方(分配割合)で揉めるケースが多いです。
(例 夫は預金を折半で分けたいが、妻は6対4を希望している。)
(注 住宅ローンがある不動産については、揉める可能性があります。)

そして全ての財産の取得が決まれば、⑤財産分与の合意となります。

【財産分与の相場】

◇ 話し合いで自由に決定
◇ 折半(50%)が公平かつ妥当
◇ 夫婦の状況に応じて柔軟に対応

協議離婚は夫婦間の話し合いをベースに解決を目指すものなので、
財産分与の相場(分け方)についても、自由に決定することが出来ます。
(例 預金100万円の内、夫が20万円、妻が80万円受領した。)

ただ財産分与は結婚中に蓄えた財産を清算(分配)するものなので、
一般的な相場としては、折半(50%)が公平かつ妥当だと考えられています。
(例 預金100万円の内、夫が50万円、妻が50万円受領した。)

補足として、↓のような状況では相場に拘らず、
離婚時の各夫婦の状況に応じて、柔軟な結論を出すケースもあります。

妻「子供が小さいから、数年はフルタイムで働けない。」
夫「分かった。預金は折半ではなく8割持って行って良いよ。」

子供が幼い場合、親権者はフルタイムで働くのが難しいので、
このように離婚後の生活資金として、多めに分けるという結論を出しています。

上述の通り、お互いが納得すれば相場を無視した合意を交わしても構いません。

こういう訳で財産分与の相場については折半を基本線として、
離婚時の各夫婦の状況に応じて、柔軟に考えることをお勧めしています。