離婚の問題や疑問を解決するコラム

これから不動産の財産分与の話し合いを始める方へ

著者は財産分与に強い行政書士の辻雅清

初めまして、全国対応で離婚問題に力を入れている行政書士の辻 雅清と申します。

〈主力業務について〉
・離婚協議書の作成(全国対応)
・離婚公正証書の原案作成&代理作成(全国対応)

2010年に開業以来、様々なご相談とご依頼を受けてきました。
この経験をこのページにてお伝えするので、これから協議離婚を考えている方にとって有益な情報となれば幸いです。

【目次】

話し合いの前に確認するべき3つのポイント
よくある不動産の財産分与の合意例

不動産の財産分与は離婚条件の中でも難易度が高いです。

ここでは不動産の財産分与で失敗しないために協議前に確認するべき名義人、住宅ローン、税金について解説します。

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話し合いの前に確認するべき3つのポイント

不動産の財産分与協議前に確認するべきことを解説

婚姻中に購入した不動産は財産分与の対象財産になるため夫婦間で分配協議が必要となります。

ご夫婦にとって不動産は高価な財産です。不動産の財産分与は離婚条件の中でも難易度が高いため事前準備をしてから慎重に進めることが大事です。

不動産財産分与の協議前に確認すること〉
① 不動産の名義人を確認する。
住宅ローンの状況を確認する。
③ 財産分与に伴う税金を確認する。

先ず①不動産の名義人を確認する。について解説します。

不動産の名義は単独名義、共有名義どちらかになっています。
単独名義とはご夫婦の内1人、共有名義とはご夫婦双方が名義人となっています。

名義がどうなっているかによって夫婦間協議の内容が変わるため、不動産の名義の確認から始めて下さい。

なお、単独名義か共有名義かわからない場合、最寄の法務局で不動産登記簿謄本(全部事項証明書)を取得すれば確認できます。不動産登記簿謄本には所有者や抵当権の情報などが記載されています。

また毎年4月、5月頃に役所から届く固定資産税の書類の宛名が「○○太郎様」なら単独名義、「○○太郎様他1名」なら共有名義と判断することも可能です。

次に②住宅ローンの状況を確認する。について解説します。

離婚時の住宅ローンの状況(完済又は返済中)に応じて夫婦間で合意できる条件の選択肢が変わります。

〈夫婦間で合意できる条件の例〉
・完済している場合、自由に売却や名義変更ができる。
・返済中の場合、銀行の許可がないと名義変更ができない。
・返済中の場合、オーバーローンだと売却が難しい。

住宅ローンを完済している場合、夫婦間協議で自由に条件(売却や名義変更など)を決めることができます。

一方、住宅ローンを返済中の場合、銀行の関与を受けるため、夫婦間協議で自由に条件を決めることが難しいです。(住宅ローンが残っているのに銀行の許可なく名義変更をするのはリスクがあります。)

こういう訳で夫婦間協議の前に住宅ローンの状況を確認することは大事です。

なお、住宅ローンを返済中の場合、契約状況(単独ローン、連帯保証人、連帯債務、ペアローン)の確認も忘れないで下さい。

最後に③財産分与に伴う税金を確認する。について解説します。

離婚に伴う財産分与で不動産の名義変更(移転登記)を行う場合、税金が発生する可能性があるため事前に司法書士さんや税理士さんへの相談をお勧めします。

申請後に予想外の税金が発生した場合、離婚後の生活設計が崩れるので事前確認は大事なステップとなります。

こういう訳で不動産の財産分与は難易度が高い離婚条件なので、事前確認を行った上でじっくりと夫婦間協議を始めて下さい。

よくある不動産の財産分与の合意例

上述の通り、不動産の名義や住宅ローンの有無に応じて合意でいる条件の選択肢が変わりますが、ここでは一例をお伝えします。参考情報としてご利用下さい。

〈不動産の財産分与の合意例〉
① 離婚に伴い、不動産を売却する。
② 夫名義の不動産を夫が取得する。
③ 夫名義の不動産を妻名義にする。

先ず①不動産の売却はわかりやすい合意例です。
夫婦間で売却益の分配割合の合意さえできれば不動産が売れるのを待つだけとなります。

次に②夫名義の不動産を夫が取得するもわかりやすい合意例です。
このケースでは夫が不動産を取得する代わりに住宅ローンも夫が支払うことなります。

なお、住宅ローンを返済中の場合で妻が連帯保証人になっている場合、連帯保証人の問題をクリアすることが大事です。この問題をクリアしないで②の合意するのはお勧めできません。

最後に③夫名義の不動産を妻名義にするについては住宅ローンを完済している場合と返済中とでわけて考える必要があります。

住宅ローンを完済している場合、銀行の関与を受けないので難しくない合意例となります。

一方、住宅ローンを返済中の場合、銀行への相談、借換、妻の収入などを検討する必要があり難しい合意例となります。

なお、不動産の財産分与を検討している場合、失敗しないためにも依頼の有無は別として1度は専門家への相談をお勧めします。

不動産の財産分与の詳細は以下もご覧下さい。
財産分与と住宅ローンの関係|離婚協議書の不動産や動産の書き方

【参考情報】
財産分与で不動産売却のポイント|離婚協議書の書き方
離婚の財産分与で不動産名義変更のポイント|事例と流れ
家具家電の財産分与で注意すべきポイント|離婚に伴う家財道具の分配