子どもの親権が理解できるようわかりやすく解説
初めまして、全国対応で離婚問題に力を入れている行政書士の辻 雅清と申します。
〈主要業務について〉
・離婚協議書の作成(全国対応)
・離婚公正証書の原案作成&代理作成(全国対応)
2010年に開業以来、様々なご相談とご依頼を受けてきました。
この経験をこのページにてお伝えするので、これから協議離婚を考えている方にとって有益な情報となれば幸いです。
【目次】
○ 親権合意の文例と書き方
○ 文例と書き方のポイント解説
○ 共同親権の文例と書き方
○ 妊娠中の子どもの親権はどうなる?
○ 離婚チェックシートを使って効率良く進めませんか?
○ 子どもの親権と監護権をわかりやすく解説
○ 子どもの親権の決定基準と条件は3つ
○ 父親に親権を譲るという選択はできる?
○ よくある親権と養育費の誤った考えとは?
○ 親権と養育費の協議をセットでするべき理由
離婚協議書や離婚公正証書に記載する親権合意の書き方を解説します。
また離婚条件の中でも親権は大事な条件になるので親権の特徴や決定基準などもお伝えします。
親権合意の文例と書き方
先ず子どもの親権の大事なポイントを解説する前に離婚協議書や離婚公正証書を作成する際に役立つ文例や書き方をお伝えします。
以下の青文字が親権合意に関する文例と書き方です。
甲及び乙は、甲乙間の未成年の長女 千佳(生年月日)の親権者を乙とし、乙は、長女の監護権者となり、長女が成年に達するまで引き取り養育する。
文例と書き方のポイント解説
離婚協議書や離婚公正証書を作成する場合、一般的に子どもの書き方は年齢の高い順に「丙・丁・戊」となります。
ただ当事務所ではわかりやすいように「長女・二女・三女」という書き方を使っています。
なお、夫婦間協議で子どもの親権が決まった場合、名前と生年月日以外はこの文例と書き方の丸写しで問題ありません。
共同親権の文例と書き方
令和8年に共同親権が始まり、夫婦間協議で従来の単独親権又は共同親権を選ぶことができます。
現時点では共同親権が始まっていないため、共同親権に関する文例と書き方は掲載しておりません。施行された時点で掲載する予定です。
なお、このページは単独親権を検討されているご夫婦向けの内容なのでご注意下さい。
妊娠中の子どもの親権はどうなる?
妊娠中の子どもの親権者は母親なので離婚協議書や離婚公正証書に記載する必要はありません。
補足として「子どもが生まれたら」という条件付きで妊娠中の子どもに対する養育費支払の合意はできます。
なお、出産後、子どもは母親の戸籍に入り母親の氏を称することになります。
離婚チェックシートを使って効率良く進めませんか?
協議離婚で話し合う離婚条件は親権、養育費、面会交流、慰謝料、財産分与、年金分割など代表的なもの、あまり知られていないものなど数多くあります。
この離婚条件の情報はご夫婦(自分たち)で集めて整理する必要がありますが以下の問題や疑問を抱える方が多いです。
〈問題や疑問とは?〉
・離婚情報が多くて混乱する。
・AサイトとBサイトで真逆のことが書かれている。
・有益な情報を集めたいけどやり方がわからない。
この問題や疑問を解消するのがオリジナルの離婚チェックシートです。
離婚チェックシートがあれば、ご夫婦で離婚条件の情報を集める必要がなくなります。つまり完成までの時間短縮に繋がります。
離婚チェックシートとは?
① 計13ページ63項目を掲載
② 協議離婚に必要な情報を全て網羅
③ わかりやすいように○×回答形式を多く採用
当事務所では20代~40代のご依頼者様が多いので養育費と面会交流の項目が多いです。
なお、数年前からは世代を問わずご依頼を頂いております。
世代に応じてテーマになる離婚条件(退職金など)は異なりますが全て対応できます。
離婚チェックシートには、具体的に以下のように掲載されています。
〈離婚チェックシートの項目例〉
例1「子どもの養育費は何歳まで払う?(選択肢は5つ)」
例2「子どもとの定期面会はどうしますか?(選択肢は3つ)」
例3「預貯金の財産分与の分配方法は?(選択肢は3つ)」
例4「通知義務の通知方法はどうしますか?(選択肢は6つ)」
離婚協議書や離婚公正証書作成に必要な情報を掲載しています。
つまり夫婦間での離婚協議において二度手間がなくなり、効率良く進めることができます。
なお、当事務所では弁護士法の規定により相手方との交渉はお引受できません。
補足として+aの条件も多数掲載しており、○と回答した項目が多い場合、
養育費と面会交流の条件だけでもそれぞれ10個以上になるご依頼者様もいらっしゃいます。
こういう訳でご依頼者様からは大変好評を頂いております。
詳細は離婚チェックシートの内容と使い方|離婚協議書と公正証書作成をご覧下さい。
子どもの親権と監護権をわかりやすく解説
ここでは子どもの親権と監護権の特徴をお伝えします。
〈子どもの親権とは?〉
① 離婚時に子の親権を決めないといけない。
② 夫婦間協議で決まらない場合は協議離婚ができない。
先ず離婚の時点で未成年の子どもがいる場合、離婚後も子どもを育てる(身の回りの世話)①親権者を決める必要があります。
離婚後も子どもと一緒に生活する親を親権者と言います。
なお、厳密には親権者は子ども名義の預貯金管理など財産管理も行います。
協議離婚では夫婦間の話し合いで解決を目指すことになります。
つまり子どもの親権は以下のようにどちらが親権を得るか(譲るか)を協議で決めます。
〈どのような協議?〉
父親「子どもの親権はどうする?」
母親「私が育てたい。譲ることはできない。」
一般的に親権は母親というイメージがありますが、夫婦間協議の結果、父親が親権を得ることもできます。
次に離婚届には親権の記入欄があるので未記入(空欄)は認められず、
親権者を決定しないと役所に離婚届を提出(受理)することはできません。
つまり②親権協議がまとまらない場合、協議離婚は成立しません。このケースでは家庭裁判所の調停離婚に進むことになります。
最後に監護権とは離婚後も子どもを手元で育てること(一緒に生活をする)を言います。
親権協議が難航した場合、親権と監護権をわけること(親権の中から監護権だけ抜くイメージ)ができますが、離婚後の子どもとの生活を考えるとデメリット(子ども名義の口座を開設する時に父親の協力が必要など)が多いです。例)親権者が父親で監護権者が母親。
仮に子どもの親権と監護権をわけた場合、上述の通り、離婚後、父親と母親が協力できる関係性がないと難しいのでご注意下さい。
子どもの親権の決定基準と条件は3つ
協議離婚では夫婦間の話し合いで子どもの親権を決めます。
そして親権の決定基準や条件を知りたいと考える方が多いので参考情報としてお伝えします。
なお、1度決定した親権を変える(変更)ことは難しいのでご注意下さい。
〈親権の決定基準と条件とは?〉
・育児にかける時間
・子どもの意思や希望を尊重する
・親権者の心身の状況
先ず育児にかける時間とは言葉通りの意味です。
親権者が子どもの面倒を見れる時間、離婚後の生活環境を言います。
次に子どもが自分の意思や希望を言える年齢の場合、子どもの話(転校したくないなど)を聞いた上でその意思を尊重することは大事です。
なお、意思や希望を言える年齢を○歳と断定するのは難しいですが、子どもが15歳以上の場合は意思や希望を確認するべきです。
最後に親権者の心身の状況とは病気や情緒を言います。
離婚後、子どもを1人で育てていくことになるのでこの心身の状況は大事な条件です。
父親に親権を譲るという選択はできる?
上述の通り、子どもの親権は夫婦間協議で決めるものです。
双方が納得できれば、子どもが幼くても父親が親権を得る(父親に譲る)ことはできます。
子どもが幼い状況で父親が親権を得る事例としては、
母親に何か特別な事情があって父親に譲ることが多いです。
特別な事情とは母親が子どもへの関心がない状況(不倫相手の男性のもとへ行く、婚姻中に子育てをしていなかった)などが考えられます。
なお、子どもが複数いる場合、親権をわけることもできます。
子どもの成長を考えるとマイナス面が多いのでお勧めはできません。
例)長男は父親、長女と二女は母親が親権を得る。
ただし、離婚時の状況に応じて親権をわけるケースもあり得ます。
〈離婚時の状況とは?〉
母親「離婚後、お母さんと妹と一緒に暮らす?」
父親「来年受験で進学もあるからお父さんと暮らす。」
このように子どもの年齢、意思、生活環境などを考慮することも大事です。
よくある親権と養育費の誤った考えとは?
離婚しても離れて暮らす親と子どもの親子関係は続きます。
そして離れて暮らす親が子どもの成長のために送るお金を養育費と言います。
親権と養育費の夫婦間協議の場面で間違った考えで進めるご夫婦がいます。
〈どのような夫婦間協議?〉
夫「親権を譲る代わりに養育費は払わない。」
妻「親権を得ることができるなら養育費はいらない。」
親権協議の結果、このような合意をするケースがあります。
ただ養育費は子どもの成長のためのお金です。つまりこの合意は無効です。
無効な合意をした場合、離婚後、この合意を覆せます。
つまり親権協議で費やした時間が無駄になるのでご注意下さい。
親権を養育費支払の取引材料にすることはできません。
親権と養育費の協議をセットでするべき理由
協議離婚の成立条件に養育費の協議はありませんが、
子どもの将来のためにも親権と養育費はセットで考えることが大事です。
例)責任をもって子どもを育てるから養育費も払ってほしい。
協議離婚の成立条件は離婚意思、親権決定、離婚届の提出、以上3つだけです。
詳細は協議離婚の進め方と成立期間|協議離婚の流れとスケジュールをご覧下さい。
なお、夫婦間で養育費の条件協議をするのであれば、同時に離れて暮らす親と子どもの定期面会(面会交流)の話し合いもすることが望ましいです。
詳細は面会交流と公正証書の文例|面会交流の頻度や条件も解説をご覧下さい。
以上のことから親権協議も大事ですが、親権が決定すれば子どものために養育費や面会交流の話し合いもして下さい。