離婚の問題や疑問を解決するコラム

養育費の減額請求のポイントを解説

著者は養育費に強い行政書士の辻雅清

初めまして、全国対応で離婚問題に力を入れている行政書士の辻 雅清と申します。

〈主力業務について〉
・離婚協議書の作成(全国対応)
・離婚公正証書の原案作成&代理作成(全国対応)

2010年に開業以来、様々なご相談とご依頼を受けてきました。
この経験をこのページにてお伝えするので、これから協議離婚を考えている方にとって有益な情報となれば幸いです。

【目次】

離婚後の状況変化を理解することがスタート
養育費の減額請求を防ぐ方法はある?
親権者が減額請求を了承した場合の注意点

離婚後、公正証書作成の有無に関わらず養育費の減額請求は可能です。

ここでは減額請求が行われる状況や理由を交えながらわかりやすく解説します。

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離婚後の状況変化を理解することがスタート

公正証書作成後の養育費減額請求について解説します

離婚協議の結果、養育費支払の合意ができても離婚後の状況変化に応じて減額請求を行うことは可能です。

なお、養育費の増額請求も可能です。この点は別のコラムにて解説します。

〈養育費減額請求を行う状況変化とは?(一例)〉
① 支払者の収入が減った。
② 支払者が病気になって入院をした。
③ 子どもを育てる親(親権者)が再婚をした。

子どもが幼い場合、養育費の支払期間は10年以上になります。
このことから離婚後、このような状況変化が起きる可能性は十分あります。
特に支払者の病気や入院、親権者の再婚に関してはいつなるか予想することは難しいです。

このような状況変化が起きた場合、離婚時に公正証書を作成していても養育費を受取る親権者に①~③を理由として減額請求を行うことができます。

〈養育費の減額協議例〉
元夫「養育費を減額してくれたらありがたい。」
元妻「月5千円の減額なら。それでもいいかな?」

養育費の減額請求は自分から親権者(主に元妻)に申入れを行い、親権者が了承すれば減額が決定します。

ただ親権者が減額を了承しない(拒否)するケースもあり得ます。
仮に拒否された場合は減額を諦める(現状維持)、家裁の調停申立、以上2つの選択肢が残ります。

養育費の減額請求は親権者の負担が増えるので、
一般的に了承する可能性は低く、拒否されるケースが多いです。
例)生活がギリギリだから養育費の減額は受け入れられない。

以上のことから養育費の減額請求はできますが、減額請求が叶う可能性は低いと予想されます。

ただし、③親権者が再婚した場合、再婚相手と子どもは養子縁組する可能性が高いです。つまり2人の父親で子どもを育てるという形になるため①や②と比較すると減額請求が叶う可能性は高くなると予想されます。

養育費の減額請求を防ぐ方法はある?

上述の通り、養育費の減額請求が叶う可能性は低いです。
このことから減額請求をしなくて済むように事前対策を行うことが大事です。100%の対策は難しいですが、やらないよりやる方が圧倒的に良いです。

例えば、入院保険に加入するという対策があります。

仮に支払者が入院保険に加入しておけば、高額医療費制度があるので、保険金が余る可能性が高く減額請求を行う必要はなくなります。掛け捨てや定期保険であれば保険料の負担は小さいです。

なお、入院保険に関しては親権者も契約しておけば保険金が給料代わりになって安心できます。

このような事前対策は離婚前の条件協議の段階(公正証書作成前)から行うべきですが、離婚後でも入院保険の加入はできるので1度検討をして下さい。

親権者が減額請求を了承した場合の注意点

離婚後、親権者が養育費の減額請求を了承した場合は金額変更に合意した書面(養育費を5万円から4万円に変更することで合意など)を残すことが大事です。

仮に変更に合意した書面を作成しなかった場合、トラブルの種(親権者が減額を了承した記憶がないとウソをつくなど)になるのでご注意下さい。

なお、離婚時に公正証書を作成していた場合は作成した公証役場(公証人)に変更した場合の対応について確認するようにして下さい。

また離婚時に公正証書などを作成していなかった場合(口約束)は良い機会なので養育費支払の公正証書や合意書を作成することをお勧めします。

【参考情報】
子どもの親権者決定のポイント|父親がなるケースも解説
養育費はいつまで払ってもらえる?|これから協議を始める方へ
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