離婚の問題や疑問を解決するコラム

離婚協議書作成に伴う財産分与の疑問を解決します

著者は財産分与に強い行政書士の辻雅清

初めまして、全国対応で離婚問題に力を入れている行政書士の辻 雅清と申します。

〈主力業務について〉
・離婚協議書の作成(全国対応)
・離婚公正証書の原案作成&代理作成(全国対応)

2010年に開業以来、様々なご相談とご依頼を受けてきました。
この経験をこのページにてお伝えするので、これから協議離婚を考えている方にとって有益な情報となれば幸いです。

【目次】

財産分与に関する6つの疑問をQ&A形式で回答
財産分与を端的にまとめると
財産分与で話し合いをする財産とは?
財産分与のやり方を知りたい
家具家電は種類が多くて話し合いが難しい
不動産の財産分与のやり方を知りたい
離婚協議書を作成する意味はある?

財産分与は多くのご夫婦が話し合いを行い、離婚協議書に記載することになる大事な離婚条件です。

ここでは財産分与に関する6つの疑問をQ&A形式でわかりやすい言葉を使って回答します。

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財産分与に関する6つの疑問をQ&A形式で回答

よくある財産分与の疑問をQ&A形式で解説します

離婚協議書を作成する上で財産分与は大事な離婚条件となります。

ここではよくご依頼者様から頂戴する財産分与の6つの疑問をQ&A形式で回答します。

なお、財産分与をもっと知りたいという方は下記ページをご覧下さい。
財産分与と住宅ローンの関係|離婚協議書の不動産や動産の書き方

財産分与を端的にまとめると

離婚協議書に記載する離婚条件の1つです。
具体的には婚姻中に得た財産について「夫(妻)が○○(財産)を取得する。」という条件を財産分与と言います。

なお、財産分与の話し合いでは婚姻中に得た財産がポイントです。
つまり独身時代に蓄えた財産(例外あり)や相続で得た財産は財産分与の対象財産にならないのでご注意下さい。

余談ですが財産分与の対象になる財産を「共有財産」、対象にならない財産を「特有財産」と言います。難しい言葉ですが覚えてほしいです。

財産分与で話し合いをする財産とは?

婚姻中に得た財産が財産分与の対象になります。
主に不動産(一軒家やマンション)、お金(預貯金)、動産(家具家電)が対象になります。

これらの財産について「夫(妻)が○○(財産)を取得する。」という話し合いを行います。

〈財産分与の話し合いの例1〉
夫「住宅ローンもあるし不動産はほしい。」
妻「離婚後、実家に戻るから不動産は譲ります。」

〈財産分与の話し合いの例2〉
妻「不動産の代わりに預貯金は多めにほしい。」
夫「家具家電を譲ってくれるなら預貯金は多めに渡す。」

夫婦間でこのような話し合いを行い、全ての財産の取得者を決めるという最終合意を目指します。

財産分与のやり方を知りたい

〈財産分与のやり方(一例)〉
① 財産リストを作成する。
② 財産リストを見ながら財産の取得者を決める。
③ 全ての財産の取得者が決定する。
④ 財産分与の話し合いが終了。
⑤ 離婚協議書に話し合った結果を記載する。

協議離婚は夫婦間の話し合いで進めるという特徴があります。
つまり財産分与やり方(分配方法や相場など)は夫婦間の自由な意思で決めれます。

なお、自由に決めれると言っても、折半(50%ずつ)が公平かつ妥当だと考えられています。

ただ離婚時の状況に応じて柔軟な結論を出すこともあり得ます。
例えば、子どもが幼い場合、親権者はフルタイムで働くことが難しいので、離婚後の生活費という意味で預貯金を折半ではなく多めに受取るといったケースです。

このように折半が公平かつ妥当ですが、絶対に折半にしないといけない。という訳ではありません。

家具家電は種類が多くて話し合いが難しい

婚姻中に購入した家具家電の種類は多いので1つ1つ分配の話し合いをすると手間と時間がかかります。このことからどうしたいい?というご質問を多く頂戴します。

家具家電に関しては全てではなく、ある程度価値のあるものだけに絞って話し合うことをお勧めします。

なお、価値のある家具家電とは金銭的な価値だけではなく思い入れのあるもの(映画鑑賞が趣味だからプレーヤーはほしいなど)も含まれます。

不動産の財産分与のやり方を知りたい

不動産の財産分与は難易度が高く、ご夫婦の状況ごとに選択肢が変わるので慎重に進めることが大事です。

〈不動産の財産分与の選択肢(一例)〉
① 不動産を売却して売却益を分配する。
② 現在の名義人が不動産を取得する。
③ 配偶者に譲って名義人を変更する。

1番簡単な方法は①不動産を売却して売却益を分配するやり方です。
ただ売却するためには住宅ローン問題(オーバーローン)をクリアする必要があり、現実的には①を選択できないご夫婦が多いです。

また②は名義人が自宅に1人だけ残って住宅ローンを払えるのか?、③は住宅ローンが残っているのに名義人を変更できるのか?といった様々な問題があります。

このような問題を解決した上で結論を出すことになります。

不動産の財産分与については下記にて詳しく解説しております。
財産分与と住宅ローンの関係|離婚協議書の不動産や動産の書き方

離婚協議書を作成する意味はある?

夫婦間で決めた財産分与の条件を離婚協議書に残す意味はあります。
なぜなら離婚協議書には離婚後のトラブル防止というメリットがあるからです。

〈離婚後の財産分与トラブル例1〉
元妻「預貯金は7対3で分配する約束だった。」
元夫「公平に折半(5対5)で分配しようと決めた。」

〈離婚後の財産分与トラブル例2〉
元夫「掃除機が必要だから渡してほしい。」
元妻「冷蔵庫を譲る代わりに掃除機はもらうと話した。」

離婚後、元配偶者が話し合いで決めた条件を覆す(ひっくり返す)可能性があります。

仮に口約束で終えた場合、どちらの主張が正しいか判断できません。
こういう時に離婚協議書があれば決めた条件が証拠として書面として残っているのでトラブル自体起きません。

離婚後の新生活でつまずかないためにも夫婦間で決めた条件を書面に残すことは大事です。

【参考情報】
面会交流で決める条件と文例|離婚協議書や公正証書Q&A
慰謝料協議の注意点や相場|離婚協議書や公正証書Q&A
年金分割ってどんな離婚条件?|離婚協議書や公正証書Q&A
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