離婚の問題や疑問を解決するコラム

離婚公正証書を自分で作成したい方へ

著者は離婚公正証書作成に強い行政書士の辻雅清

初めまして、全国対応で離婚問題に力を入れている行政書士の辻 雅清と申します。

〈主力業務について〉
・離婚協議書の作成(全国対応)
・離婚公正証書の原案作成&代理作成(全国対応)

2010年に開業以来、様々なご相談とご依頼を受けてきました。
この経験をこのページにてお伝えするので、これから協議離婚を考えている方にとって有益な情報となれば幸いです。

【目次】

自分で作成するためには5つの条件クリアが必要
離婚公正証書を自分で作成する流れ
自分で作成する場合の必要書類
離婚チェックシートを使って効率良く進めませんか?

離婚公正証書は自分で作成することも行政書士などに依頼をして作成することもできます。どちらの作り方にもメリットとデメリットがあります。

ここでは離婚公正証書を自分で作成する場合の大事なポイントを完成までの流れ(作り方)を交えながら解説します。

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自分で作成するためには5つの条件クリアが必要

離婚公正証書を自分で作成する場合は5つの条件をクリアする必要があります

離婚公正証書を完成できるのは全国各地にある公証役場の公証人です。
ご夫婦、行政書士、その他専門家でも完成させることはできません。できるのは離婚公正証書の原案(下書き)作成までです。この点を勘違いしている方が多いのでご注意下さい。

なお、離婚公正証書には住所地管轄がないので好きな地域の公証役場で作成できます。(大阪府在住のご夫婦が兵庫県の公証役場で作成など。)

ここでは離婚公正証書を自分で作成するご夫婦に向けて必要な情報をお伝えします。

離婚公正証書自分で作成するための5つの条件(作り方)〉
① ご夫婦双方に離婚意思と離婚公正証書作成の意思がある。
② 夫婦間で養育費など全ての離婚条件の協議を行い合意している。
③ 夫婦間で合意した離婚条件を書面(離婚公正証書の下書き)に残す。
④ 公証人が③で作成した書面のチェックを行い問題なしと判断する。
⑤ ご夫婦揃って公証役場に出向いて離婚公正証書に署名押印する。

離婚公正証書を自分で作成するためには①~⑤全ての条件をクリアする必要があります。

先ず離婚公正証書は協議離婚を選択するご夫婦が作成する書類です。
また離婚公正証書には強制執行(養育費などの支払が滞った時の財産差押え)という強い効力があります。

以上のことから①ご夫婦双方に離婚意思と離婚公正証書の作成意思がないと作ることはできません。配偶者に意思がない場合は別の選択肢(家裁の調停離婚など)を検討します。

次に協議離婚は夫婦間の協議で解決を目指すことになります。
つまり②養育費など全ての離婚条件は夫婦間で協議を行い、最終合意を目指します。

なお、離婚公正証書を自分で作成するためには夫婦間協議の前に自分で離婚条件の情報収集を行い、整理した上で正しい知識を蓄える必要があります。

当事務所にご依頼を頂いた場合は離婚チェックシートがあるので離婚条件の情報収集は不要です。

次に公証役場はゼロベースから離婚公正証書を作ってくれません。
このことから公証人に③夫婦間で合意した離婚条件を伝える書面(離婚公正証書の下書き)を作成する必要があります。

なお、この書面はウェブ上のひな形レベルの方が公証人に伝わりやすいですが箇条書きでも構わないです。

当事務所で公開しているひな形を以下をご覧下さい。
離婚協議書と離婚公正証書の文例と書き方|テンプレートで解説

次に離婚公正証書に残せる離婚条件は法的な有効なものに限られます。
このことから④公証人に③で作成した書面(離婚公正証書の下書き)を提出し法的チェックを受ける必要があります。

夫婦間で合意した離婚条件は全て離婚公正証書に残せる。
自分で作成するご夫婦の場合、このような勘違いをしているケースが多いのでご注意下さい。

なお、公証人のチェックで不可とされた条件は修正又は削除することになります。

仮に夫婦間にとって大事な条件を不可とされた場合、夫婦間協議のやり直しという二度手間が起きるので夫婦間協議前の離婚条件の情報収集は大事なステップと言えます。

当事務所にご依頼を頂いた場合は事前に公証人と記載の可否確認を行います。つまりこのタイミングでの修正や削除が起きることはありません。

最後に自分で作成する場合、⑤ご夫婦揃って公証役場に出向いて離婚公正証書に署名押印する必要があります。

公証役場は平日しか開いていないので特別な事情(仕事を休めない、別居していて遠距離など)がある場合は代理作成の検討が必要です。

代理作成を利用する場合、ご夫婦は1度も公証役場に足を運ばず完成できます。完成した離婚公正証書は郵送で届きます。

当事務所では全国対応で代理作成を行っております。

離婚公正証書を自分で作成する流れ

① 夫婦間で離婚条件の協議を行い合意する
② 夫婦間で合意した離婚条件を書面に残す
③ 公証人との面談相談の予約をする
④ 公証人に②で作成した書面を提出しチェックを受ける
⑤ 公証人の書面チェックをクリアする
⑥ 公証人が書面の内容をもとに離婚公正証書原稿を作成
⑦ 離婚公正証書の作成日が決定
⑨ 作成日にご夫婦が揃って公証役場に出向く
⑩ 離婚公正証書の完成

離婚公正証書を自分で作成するための5つの条件を理解できれば自分で作成する際の流れをイメージしやすいです。

公証役場ごとに流れが変わるケースもありますが、基本的に自分で作成する場合は①~⑩の流れで進めます。

ここでは①~⑩の一部についてポイント解説を行います。

先ず公証役場では離婚、遺言、金銭消費貸借など様々な公正証書を作成していることから1日の予約が埋まっていることが多いです。

このことから公証役場に出向く際は飛び込みではなく事前に③公証人との面談相談の予約を取るようにして下さい。

次に離婚公正証書を自分で作成する場合、基本的に公証役場には2回出向く必要があります。

1回目は④夫婦間で合意した離婚条件の書面チェック日、2回目は⑨離婚公正証書の作成日です。

なお、1回目は書面チェックだけなので1人で出向いても問題ありません。

最後に④~⑩の期間(時間)は公証役場の予約状況にも左右されますが、2週間~1か月程度かかると予想されます。

自分で作成する場合の必要書類

① 本人確認書類+認印
② 戸籍謄本(全部事項証明書)

離婚公正証書を自分で作成する場合、公証役場に①と②の書類提出が必要です。公証役場ごとに運用が異なる可能性があるので参考情報となります。

先ず①本人確認書類は運転免許証又はマイナンバーカードです。
これらの書類がない場合は、印鑑証明書+実印で代用することができます。

そして戸籍謄本は本籍のある役所や住所地の役所にて発行できます。戸籍抄本(個人事項証明書)ではなく戸籍謄本(全部事項証明書)が必要なのでご注意下さい。

なお、夫婦間で合意した離婚条件に応じて追加書類が必要なケースもあります。

〈追加書類とは?〉
・不動産の財産分与では登記簿謄本+評価額書類
・年金分割合意書では年金手帳+印鑑証明書+実印

不動産登記簿謄本(土地用や建物用)は法務局で発行、不動産の評価額書類とは固定資産税の支払用紙一式の中に記載されているものです。

なお、年金手帳を紛失している場合は代替書類(古いねんきん定期便など)について公証役場への事前相談が必要です。

【参考情報】
離婚公正証書原案の作り方|質の高い原案を作るポイント
離婚公正証書を1人で作れない理由|1人で提出や行くことはできる?
12月に離婚公正証書を作りたい方への注意点|年内作成
離婚後に養育費の減額はできる?|公正証書の作り直し
離婚後に公正証書を作るポイント|いつまでなら作成できる?
離婚公正証書完成までにかかる時間|公正証書の作成期間

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離婚チェックシートを使って効率良く進めませんか?

離婚チェックシートの見本

協議離婚で話し合う離婚条件は親権、養育費、面会交流、慰謝料、財産分与、年金分割など代表的なもの、あまり知られていないものなど数多くあります。

この離婚条件の情報はご夫婦(自分たち)で集めて整理する必要がありますが以下の問題や疑問を抱える方が多いです。

〈問題や疑問とは?〉
・離婚情報が多くて混乱する。
・AサイトとBサイトで真逆のことが書かれている。
・有益な情報を集めたいけどやり方がわからない。

この問題や疑問を解消するのがオリジナルの離婚チェックシートです。
離婚チェックシートがあれば、ご夫婦で離婚条件の情報を集める必要がなくなります。つまり完成までの時間短縮に繋がります。

離婚チェックシートとは?

① 計13ページ63項目を掲載
② 協議離婚に必要な情報を全て網羅
③ わかりやすいように○×回答形式を多く採用

当事務所では20代~40代のご依頼者様が多いので養育費と面会交流の項目が多いです。

なお、数年前からは世代を問わずご依頼を頂いております。
世代に応じてテーマになる離婚条件(退職金など)は異なりますが全て対応できます。

離婚チェックシートには、具体的に以下のように掲載されています。

〈離婚チェックシートの項目例〉
例1「子どもの養育費は何歳まで払う?(選択肢は5つ)」
例2「子どもとの定期面会はどうしますか?(選択肢は3つ)」
例3「預貯金の財産分与の分配方法は?(選択肢は3つ)」
例4「通知義務の通知方法はどうしますか?(選択肢は6つ)」

離婚協議書や離婚公正証書作成に必要な情報を掲載しています。
つまり夫婦間での離婚協議において二度手間がなくなり、効率良く進めることができます。

なお、当事務所では弁護士法の規定により相手方との交渉はお引受できません。

補足として+aの条件も多数掲載しており、○と回答した項目が多い場合、
養育費と面会交流の条件だけでもそれぞれ10個以上になるご依頼者様もいらっしゃいます。

こういう訳でご依頼者様からは大変好評を頂いております。

詳細は離婚チェックシートの内容と使い方|離婚協議書と公正証書作成をご覧下さい。