離婚協議書と離婚公正証書の違いを解説します
初めまして、全国対応で離婚問題に力を入れている行政書士の辻 雅清と申します。
〈主力業務について〉
・離婚協議書の作成(全国対応)
・離婚公正証書の原案作成&代理作成(全国対応)
2010年に開業以来、様々なご相談とご依頼を受けてきました。
この経験をこのページにてお伝えするので、これから協議離婚を考えている方にとって有益な情報となれば幸いです。
【目次】
○ 作成前に知っておくべき違いは4つ
○ 自分で作成する場合の大事な注意点
○ 離婚チェックシートを使って効率良く進めませんか?
離婚協議書や離婚公正証書は行政書士などに依頼をせず自分で作成することも可能です。
ここでは自分で作成する予定の方に向けて離婚協議書と離婚公正証書の違いを解説します。作成前に共通点だけではなく違いも理解するべきです。
作成前に知っておくべき違いは4つ
離婚協議書と離婚公正証書には共通点が多いですが違いもあります。
共通点を理解している方は多いですが、違いを理解している方は少ないので自分で作成する前に知っておいてほしいです。
〈離婚協議書と離婚公正証書の違い〉
① 効力に違いがある。
② 最終作成者に違いがある。
③ 完成までの期間に違いがある。
④ 作成にかかる費用に違いがある。
先ず①効力に違いがある。について解説します。
離婚協議書と離婚公正証書には強制執行という効力の違いがあります。
強制執行とは離婚に伴う養育費など金銭支払が滞った場合、支払者の給料など財産の差押えができます。
この強制執行は離婚公正証書を作成した場合にできるもので離婚協議書ではできません。
こういう訳でいざという時のために離婚公正証書を作成したいと考える方が多いです。当事務所での作成内訳は離婚協議書1割、離婚公正証書9割となっています。
次に②最終作成者に違いがある。について解説します。
離婚協議書は自分で作成することも行政書士などに依頼をして作成することもできます。
一方、離婚公正証書は自分で作成することができず全国各地にある公証役場(特別な役所というイメージ)の公証人のみが作成できます。
なお、公証役場はゼロベース(離婚条件が何も決まっていない状態)から作成できません。つまり自分で作成する場合、夫婦間で合意した離婚条件をまとめた離婚公正証書の原案(下書き)作成が必要です。この原案を元に公証人が離婚公正証書を作成します。
こういう訳で離婚協議書は自分で作成できますが、離婚公正証書は自分で作成できません。
次に③完成までの期間に違いがある。について解説します。
離婚協議書を自分で作成する場合、夫婦間で合意した離婚条件をまとめてパソコンに入力し2部印刷して双方が署名押印すれば完成します。
つまり離婚条件の夫婦間協議の時間+パソコンでの作成時間が離婚協議書の期間と言えます。
なお、自分で作成する場合、テンプレートやひな形を参考(コピペ)にする方が多いです。
当事務所のテンプレートは下記ページに掲載しております。
・離婚協議書と離婚公正証書の文例と書き方|テンプレートで解説
ご夫婦ごとに違いはありますが、当事務所で離婚協議書を作成するご依頼者様の場合、1か月以内に完成することが多いです。
一方、離婚公正証書を自分で作成する場合、離婚条件の夫婦間協議の時間+合意した離婚条件をまとめた離婚公正証書原案の作成時間+公証役場での作成時間が離婚公正証書の期間と言えます。
ご夫婦ごとに違いがありますが、当事務所で離婚公正証書を作成するご依頼者様の場合、2か月以内に完成することが多いです。
なお、離婚公正証書の最終作成者は公証人なので公証役場の予約状況によっては完成期間が延びる可能性があります。個人的な意見ですが、年々、公証役場の予約が取りにくいと感じる機会が増えています。コロナ前は1週間待ち程度だったのが現在では1か月待ちというお話も伺います。
こういう訳で離婚協議書と離婚公正証書完成までの期間は1か月程度の違いがあります。
最後に④作成にかかる費用に違いがある。について解説します。
離婚協議書を自分で作成する場合にかかる費用はほぼ0円です。(厳密にはコピー用紙代、製本テープ代、インク代などがかかります。)
一方、離婚公正証書を自分で作成する場合、公証役場に支払う手数料が必要です。つまり費用0円で作成できません。
公証役場手数料は夫婦間で合意した離婚条件やページ数などにより変動しますが、当事務所では3万円台になるご依頼者様が多いです。
なお、養育費に関する公証役場手数料は自治体の補助金制度を利用できる可能性があります。補助金を利用できれば費用節約に繋がります。詳細は自治体の窓口に確認をして下さい。
こういう訳で離婚協議書の作成では費用はかかりませんが、離婚公正証書の作成では費用がかかります。
自分で作成する場合の大事な注意点
自分で作成する場合、ウェブ上で情報を得た後、ひな形をコピペして完成させる方が多いです。
ひな形をコピペする行為自体は問題ありませんが、ひな形の意味を理解した上で作ることが大事です。
ご夫婦が自分で作成した離婚協議書のチェックをする機会がありますが、ご夫婦にとって不要な条件、表現が違うだけで重複している条件など問題のあるものが多いです。また書き漏れや不備も多いです。
離婚協議書や離婚公正証書を作成する目的の1つに離婚後のトラブル防止があります。問題があるものを作成した場合、離婚後のトラブル率が上がり後悔する可能性が高いです。
依頼の有無は別として1度は専門家へ離婚協議書のチェック相談をすることをお勧めします。
なお、離婚後に離婚協議書や離婚公正証書を作り直すことはできます。
ただし、元夫婦間に作り直すという同意が必要なので作り直せる可能性は低いです。
つまり今回作成するものがラストチャンスという気持ちで丁寧に進めることが大事です。
当事務所には自分で作成した方からの離婚後相談を受けることがありますが、当事務所で対応できる内容ではなく、費用がかかる弁護士さんへの相談依頼を勧めることが多いです。
最後に離婚協議書と離婚公正証書の違いを解説しましたが、同時に共通点も理解した上でどちらを作成するか検討して下さい。
【参考情報】
・離婚協議書と公正証書の共通点
・離婚協議書と公正証書の効力の違い
離婚チェックシートを使って効率良く進めませんか?
協議離婚で話し合う離婚条件は親権、養育費、面会交流、慰謝料、財産分与、年金分割など代表的なもの、あまり知られていないものなど数多くあります。
この離婚条件の情報はご夫婦(自分たち)で集めて整理する必要がありますが以下の問題や疑問を抱える方が多いです。
〈問題や疑問とは?〉
・離婚情報が多くて混乱する。
・AサイトとBサイトで真逆のことが書かれている。
・有益な情報を集めたいけどやり方がわからない。
この問題や疑問を解消するのがオリジナルの離婚チェックシートです。
離婚チェックシートがあれば、ご夫婦で離婚条件の情報を集める必要がなくなります。つまり完成までの時間短縮に繋がります。
離婚チェックシートとは?
① 計13ページ63項目を掲載
② 協議離婚に必要な情報を全て網羅
③ わかりやすいように○×回答形式を多く採用
当事務所では20代~40代のご依頼者様が多いので養育費と面会交流の項目が多いです。
なお、数年前からは世代を問わずご依頼を頂いております。
世代に応じてテーマになる離婚条件(退職金など)は異なりますが全て対応できます。
離婚チェックシートには、具体的に以下のように掲載されています。
〈離婚チェックシートの項目例〉
例1「子どもの養育費は何歳まで払う?(選択肢は5つ)」
例2「子どもとの定期面会はどうしますか?(選択肢は3つ)」
例3「預貯金の財産分与の分配方法は?(選択肢は3つ)」
例4「通知義務の通知方法はどうしますか?(選択肢は6つ)」
離婚協議書や離婚公正証書作成に必要な情報を掲載しています。
つまり夫婦間での離婚協議において二度手間がなくなり、効率良く進めることができます。
なお、当事務所では弁護士法の規定により相手方との交渉はお引受できません。
補足として+aの条件も多数掲載しており、○と回答した項目が多い場合、
養育費と面会交流の条件だけでもそれぞれ10個以上になるご依頼者様もいらっしゃいます。
こういう訳でご依頼者様からは大変好評を頂いております。
詳細は離婚チェックシートの内容と使い方|離婚協議書と公正証書作成をご覧下さい。